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12月7日に感染症についての勉強会が浦安でありました。

かなり長文になってしまいましたが、
なるべく先生が話されたニュアンスを残しつつまとめました。

もしかしたら中には聞き間違っている内容があるかもしれません。
それを発見された方はご連絡頂けると幸いです。


※ 記事に誤りがありましたので、修正させて頂きました。
   ご指摘ありがとうございました。
  (12月16日 00時45分)



「人獣共通感染症 怖さを知ろう、知れば安全に対処出来る」

浦安犬の会主催により12月7日、
浦安日の出公民館にて開催されました。

講師:千葉県獣医師会所属 周藤行則獣医師(すとう動物病院院長)



●先生の挨拶
私も皆さんと情報を共有して、どういうものであるか再確認する場にしようと思ってきました。
私はただの開業獣医師ですから、専門的にブルセラ一筋に来たわけでもありません。
私の分かる範囲で、私が付け焼刃で勉強してきた事を皆さんにご披露いたします。
非常に専門的な難しい問題であるとすれば、今度2週間後に浦安市の勉強会で、
今日は身近な問題に絞ってお話をさせていただこうと思います。



●参考にした本
・人獣共通感染症 清水 実嗣 (人間を診る先生が書いている)
・感染症とどう闘うか 清水文七(読み物として読むもの、ある程度深い知識を簡単に読み砕いている内容)
・共通感染症ハンドブック (獣医師会の方で書いている)



●今日のテーマ
感染症、あるいは人獣共通感染症とは非常に怖いもので、
動物からうつる大変な病気だと認識はあると思います。
ただ、今回の一連の流れを見ていますと、
ことさら恐怖心の方が一人歩きをしてるのではないかと感じてます。
人間が動物から訳の分からないものをうつされるのは非常に怖い。
だからこそ、それが防御出来るとしたらどうしたら良いのか、
あるいは防御が出来ない病気であるか、そういったような事を、きちんと見極める。
どの程度怖くて、どの程度気をつけて、どういうところは大丈夫である、
そういった部分を知る事によって、
どんな感染症でも比較的安全に対処出来るのではないかなと考えています。
ですから、今日の話題として、
怖さを知ろう、知れば「安心」出来るというよりは、「安全」に対処出来る犬の病気、
ということで話をしていこうと思います。



●細菌やウィルスの説明
細菌やウィルスは太古の昔から、細菌同士で生存競争をして、優秀なものが繁栄をしてきました。
生存範囲は地球上のありとあらゆるところで繁栄しています。
例えば、80~110度の温泉の中、上空の大気中の中、南極など極寒の地など、
細菌がいないところっていうのは、地球上にはないのではないか。
細菌そのものが自分で抗生物質を作って、
他の種族の菌よりも生存条件を良くするため使ってきました。
そういう道具を人間が、非常に便利なものだという事で、製薬として作って利用してます。
また、細菌は情報を伝達する物質があって、
情報を交換することで生存競争に勝ち抜いてきた側面もあります。
細菌以外にはウィルスがあります。
細菌から進化したもので、徹底して無駄を省いた生命形態がウィルスです。
ウィルスは生命活動に必要な器官を全然もっていなくて、あるのは設計図だけ。
その設計図だけの物質が寄生する細菌と、人間の体に入って中の器官を使って、
設計図を相手の遺伝子の中に入れてどんどん自分を作っていく。
そんなような非常に不思議な生き物です。



●動物と細菌の説明
脊椎動物は地球上に誕生したのは5億3千万年前といわれています。
細菌の歴史は当然それよりも古く生存している。
空気中にも、動物の体の表面にも、私達の体内にも沢山の細菌が繁栄してます。
私達の皮膚の表面にも、どんなに清潔にしている方にでも、
常在細菌がいて皮膚の表面に共生をしている、
細菌の層が共生をしている事によって、悪い菌が入ってくると排除するような働きもある。
一説によると全然菌のいない状態で育てた生物と、
菌がいる状態で育てた生物では発育に大きな差が出来てきて、
菌があるほうがすくすくと発育するというような、非常に面白いデータもあります。
菌のない非常に清潔のなかで育った動物達にはアトピーが多くて、
色々な菌とか汚い物質があるような中で育った動物達は、
アトピーになりにくいような、そういう傾向もあります。
やはり生命というのは単独ではなくて、人間+細菌・ウィルス、あるいは人間+カビとか、
そういったもので、ネットワークを組んで営みをしているんじゃないかと言われています。
脊椎動物にせよ、無脊椎動物にしろ、
地上に出現してきた時期とほぼ同時の時期に、感染症も始まったといわれています。
つまり、5億3千万年前には、いわゆる人獣共通感染症は起きていた、
今始まった事ではないと言われています。



●前置きのまとめ
地球上はウィルス、細菌、カビそういったもののスープ状態になっています。
地球には沢山の微生物がいて、これを完全な無菌状態で暮らすということは不可能な事です。
もし宇宙人が侵略して来たとしても、
凄く長い時をかけて組みあがって来た生命形態の中に入る事は出来ないだろう、
宇宙人が来るとしたら、やっぱり宇宙服を着てじゃないと無理じゃないかなと思っています。
そんな環境の中でお医者さんが安全に手術を安全に出来ているかは、
動物が丈夫だから、それもあるでしょう。
でもその安全にする方法っていうのは、実は非常にシンプルな事の積み重ねです。
手を洗って、滅菌した服・手袋をして、動物の上に滅菌の布をかけて、
滅菌した道具を広げて、そこから手術をする。
こういった手順を踏む事によって、無菌的・滅菌的安全な手術を行うことが出来ます。
みなさんが出来る事としては、手洗いとか、インフルエンザの様なモノであればマスクを使うとか、
そういう事を有効に使う事によって、感染症の防御も可能だと思っています。
正しい情報を、相手を知る事によって、
あまり不安を覚える事なく安全に、病気と向かって対処出来ると思う。



●ブルセラ症
<詳細>
細菌が起こす伝染病。別名、波状熱・マルタ熱とも呼ばれている。

波状熱:
繰り返し波が押し寄せるように熱が出たりする。

マルタ熱:
地中海のマルタ島で最初に発病したという由来から。
人獣共通感染症に指定され、家畜伝染予防法でも、法的に定められているが、犬は指定されてない。


<怖いところ>
ヤギ・牛・羊といった動物から人間、農家の方がうつること、
乳製品、肉製品を生で食べる事によって、
ウシ型・羊型(犬型以外)のモノが感染を起こす事が非常に怖いので、
人獣共通感染症で、家畜伝染予防法に分類されております。


<犬が含まれていない理由>
犬の場合は他のブルセラ菌の毒性からするとはるかに弱いという事。
伝染病予防法というのは動物を守るというよりは、人間を守るという法律なので、
人間に対してどれだけ危害を及ぼすかによって法律が決まっている。
そういう点で犬から人間に対する毒性というのはあまり強くないし、
犬がこれだけ愛玩動物として飼われるという事が過去の法律上では想定出来なかったという事もある。



●その他
ブルセラ菌は現在種類
 ※調べたところ7種類でした、以下の通りです。
  B.malitensis (宿主)ヤギ、ヒツジ、サイガ
  B.abortus (宿主)ウシ、バイソン、スイギュウ、シカ、ラクダ
  B.suis (宿主)ブタ、イノシシ、野ウサギ、トナカイ
  B.canis (宿主)イヌ
  B.ovis (宿主)ヒツジ
  B.neotomae (宿主)森林ネズミ
  B.maris (宿主)海産哺乳類

家畜関係者・獣医の方がブルセラの危険性が高く、
職業病として私達が真っ先にうつる危険性のある病気と言われています。
一般の人の場合も、乳製品など摂取するということで感染する機会がある。
家畜関係、経済動物でブルセラ病が出たら、治療よりも淘汰するというのが行政の方の考えです。
日本は過去30年間、家畜関係のブルセラ病は一切出ていない。
完全な正常化清浄化された状態で、どう維持するかを国の機関が考えていて、
輸入検疫など、外部から入ってくる家畜により日本国内にブルセラを広げないように貿易防疫をしているのが現状です。



●イヌブルセラ症(人獣共通感染症の本より抜粋)
正式名:ブルセラキャニス(キャニスとは犬という意味)
1966年流産した子犬の、胎盤、胎児組織から初めて菌が発見されました。
最初はビーグルだけだった、その後他の犬種でもこのブルセラが発症して、現在日本でも認められています。


<人への影響>
人には殆ど病原性はありません。
但し基礎疾患により免疫力が低下した人には注意が必要。
例えば、高齢者・子供・免疫力が十分に発達していない方や、
不幸にして癌が出来方、、自己免疫性疾患で免疫力を意図的に下げるような薬を飲んでいる方、
病気によって免疫力の弱っている方の場合には、感染してしまう可能性はあります。

人に感染した場合:
1~3週間くらい、長くて3ヵ月くらいの潜伏機関の後、菌血症になって発熱を繰り返す。
骨格筋や臓器に感染が拡大し重度の倦怠感、関節痛、衰弱、体重減少などが起きる。流産はしません。
でもこれも普通はここまでおきないはずです。
よほど免疫力が弱っていた方の場合にブルセラが入った時にこういったような症状が出る。


<感染が広がった原因>
繁殖家の方が色んな犬種を作って、交配をして産まれた子を世界中に出している、
その中で潜伏して一緒に世界中に広まっているのが現状。
経済的に貧しい国では、野犬が多く自然に交配をしたりすれば、伝染の機会があるので、
野犬が多い中南米で感染、抗体陽性率が高いということも言われている。


<具体的な症状など>
・オスの場合
精巣萎縮:
睾丸が炎症を起こした後、小さくなってしまう。
大きい体系の子なのに、睾丸が非常に小さいという事があったりする。

精巣上体炎:
睾丸の上に精巣上体という機関があり、その部分が炎症を起こす。

前立腺の炎症:
尿道部分にある機関、かなり奥の方にあって膀胱の直ぐ後ろ。

これらの炎症がおきている最中は痛いので、
睾丸を触ったりすると吠えたり、痛がるであろう。

他には、精液の激減、異常、運動性の低下など。

・メスの場合
流産:
妊娠の終わり3分の1(犬の妊娠期間が62、3日ですので、大体40日くらい)で流産をする事が多い。
(もっと早く起きる事もある)

・オスメス共通
全身のリンパ管症:
リンパ管全体が炎症を起こす病気です。

椎間板脊椎炎:
椎間板ヘルニアのような症状で、背骨の椎間板がある周りのところが細菌感染を起こす。
(結核などと同じような事が起きる)

他には、疲労、食欲減退、体重減少、倦怠感、異常行動など。

感染すると犬の繁殖能力が本能的に終わってしまうので、ブリーダーの方にとっては致命的な病気です。
大多数のブリーダーの方は、ブルセラ症を気にされ、
獣医やもっと専門の先生にアドバイスを受け、検査をされる事も多いと聞く。
問題は、この病気は他の伝染病のようにぱっと症状が出て短時間で診断がつかないので、
非常に診断に苦労するし、治療も上手く行かなく予防注射もない。
ケンネル内に急速に広がる可能性が大きく、獣医はブルセラ症の予防治療コントロールの十分な知識を持ってなければならない。


<日本のブルセラ感染事例>
本来は日本であまりなかったと教科書等には書いてある事が多く、
率直はところ最近になって皆さんと同じような衝撃を受けている。
とはいえ今まで全然なかったのかというと、日本にもありました。
ある大学の方で犬からうつったと聞いた事がある。
「ジャルメック」という、大学をリタイアした先生方が犬の二次診療としての大きな病院を神奈川に立ち上げていて、
そこには、CTやMRIや超音波など色々な設備があって、一線の先生たちが活躍していらっしゃいますけども、私が教わった東大の教授もそこで病院長しています。
その先生が日本国内でブリーダーさんを頼って血液バンクのようなものを作ろうと動かれたそうなんです。
沢山の犬がいるブリーダーのところにお願いをして血液検査をしたところ、ブルセラ抗体の高い犬が沢山いたということもあった。
その事に関しては、先月大阪の方の学会で発表されている。
そういった事で表面上は分からなくても、水面下では日本国内にも相当ブルセラ病は広まっていると思う。


<猫への感染>
実験的に感染させたところ感染はしたが、
野外の犬から猫に、あるいは猫から猫にブルセラは全然うつらない。


<臨床症状>
臨床症状の出方は多種多様。
症状からブルセラ症を見分けるのはまず無理だろう。

オスですと睾丸炎、精巣上体炎、前立腺の炎症、時に陰嚢に潰瘍が出来るそうです。

怖いのはメスの場合で、流産したメスや不妊症のメスの場合は、
常に最悪を考えてブルセラ大丈夫かなと気をつけていた方が良い。
一般的に流産の場合には、妊娠45~50日のころに起きるそうです。
妊娠のごく初期(胎芽)で死んでしまう事もある。

他には全身のリンパ節が腫れる事がある(リンパ腫という癌でも腫れる)。

イヌブルセラ症の特徴は長期の菌血症。1年~2年あるいはもっと長く続く。
この菌血症は、間欠的な事がある。
例えば、5年位続くとして、最初の1ヵ月は出て、その後1ヵ月は出なくなり、また暫らくして1ヵ月出てと、
治ったのかどうなのか、ハッキリしない状態。
他のウィルス病の場合、元気になったら、抗体も出来て大丈夫となるのだが、
ブルセラの場合それが言えない。
治ったのか治らないのか本当に分からないという状態が続く。

どこの粘膜からでもかかるので、口腔から感染した犬は通常は2週間~3週間以内に菌血症になる。
この時期は臨床症状はなく、リンパ節、脾臓、生殖器に限局して生存する。

妊娠系の場合、行為後10~20日目に初期胎芽が死亡して吸収される事もある。
妊娠中に必ずしも全部の子が流産する訳でもない。
生きてる子もいるし、死んでる子もいるし、両方がお腹の中にいて、
コレもハッキリしない原因の1つかもしれない。
もしかすると死んだ子は弱かったのかなと、
検査もしないで終わってしまっているケースもあるかと思います。
感染したメスは一般に1回~2回流産するそうですが、
1年の間隔を空けたのち続けて4回流産したという事もあった。

生まれた仔に実験的にブルセラ菌を感染さると、3年以上菌血症が続いた報告もある。


<伝播方法>
一番重要な伝播方法は、胎盤組織、流産後のおりものによる方法です。
ブルセラ流産後、5~6週間膣嚢分泌液中に排泄されます。

汚染尿や他の分泌物から伝播する事はあまりない。
理由は、これらの経路に排泄される菌数は感染を成立させるのに必要な数より少ない場合が多いから。
ただオス犬の尿からの伝播は、メスの約10倍感染力があるという事が最近言われている。
その原因は、精巣炎とか、前立腺炎でその中に細菌が生存しているから。
10倍菌量が多いという事は、オスでブルセラがあればやっぱり必然的に去勢も必要だろう。
メスの場合も不妊手術をすれば、菌が生息する部位を狭めるのでブルセラは弱まる。

他には、どこの粘膜をかいしてもかかります。


<診断における問題点>
よく質問として聞く事は、
診断が場所によって違うじゃないか、ここでやったら良くて、あっちではダメでとか、
1回目はダメだって言われたが、2回目で良かったとか、
色々と皆さんから、ご指摘と、お叱りを、受けております。
それに関してはこの菌の検査の特殊性という事もあるのかもしれません。
原因としては、擬陽性を起こす物質として他の細菌が起こすクロス反応抗体がある。
不純物のようなモノが反応して実際にはブルセラはいないのに、ブルセラがいるような抗体反応が起きてしまうという。


<予防とコントロール>
ケンネルにおけるコントロール方法は、全ての感染動物を排除する事です。
流産したメス犬や、連続交配しても受胎できないメス犬は、
生殖器疾患をオス犬もメス犬も感染している可能性があると考えます。
これらの犬は隔離して血清学的、細菌学的検査をします。
そして全ての犬が3ヵ月前の検査で陰性とならないといけません。
ケンネルに新しく犬を入れる場合、
特に妊娠犬・交配犬の場合、その犬が30日間隔で2つの試験で陰性になってからにします。
あくまでもケンネル、ブリーダーさんのところで沢山飼っているブリーダーさんのところのコメントです。

消毒には、アンモニウム化合物、ハロゲン剤(ハイター、塩素系の漂白剤)など、
市販の消毒薬を使います。
消毒するれば菌は死にます。そんなに強い菌ではない。

感染は精液、おりものによって媒介されるので、
去勢や不妊手術をすればその伝播を減少させられる事がある。
通常1~4年後に自然回復し免疫が出来ると本には書いてあるが、これに関しては私としてはどうかなと思う。

ブルセラ症の感染の犠牲になるのは、獣医が一番危ないのかもしれません。
例えば、微弱陣痛で赤ちゃんがもしかして死んでいるかもしれないとしたら、
健康であって典型的な症状が出ていないとすれば帝王切開して、人口呼吸をすると思う。
そういった事でブルセラ症はわれわれ獣医が一番危険である、
それと同じくらいに飼い主のみなさんも危険であるという風に思っています。
どんなにイヌブルセラが感染力弱くとも、
死亡胎児、あるいはオスの尿の中には相当数の菌がいるのは間違いのない事実なので、
常に、ブルセラの事を頭の中に入れておくと良いと思う。

死亡胎児は菌の塊といわれていますから、絶対に素手では触らない。
手袋をする、あるいはビニール袋に包んで、出来たら新鮮なうちにかかり付けの先生のほうに、
ブルセラ大丈夫かなと、届けていただけたらなと思います。

もしブルセラが出たら皆に除け者にされるんじゃないかとか、
恐れを抱いている方も多いかもしれませんが、決してそういう事はありません。
ブルセラも非常に巧みに生きてはいるが、弱いところを付けば弱いんです。
出たのであれば情報を皆で共有しましょう、その上で正しい行動をすれば全然怖くないです。
我々もそういうものが出たという事であれば、一生懸命勉強して専門の先生に声をかけて、
それをきっかけにして、より良い情報提供が皆さんに出来るんじゃないかというふうに思っています。


<感染犬について>
浦安市、市川市の一部の先生たちの所に検査を依頼された方が、
途中経過で77頭、実際には100頭近く検査をしたかも。
その中で1頭だけ陽性の反応が出ました。その方は自分の方から、保健所に届けをされて、
市のほうにも届出をされまして、現在治療中。 ←うちのことですね^^;
感染症医院の先生に情報を得てきちっとした治療をして、かなり治療が進んでいる段階です。

家畜の場合には治療はしません。
経済的な事と、治療は非常に難しいという事があるもので、摘発淘汰というのが家畜の大原則です。

愛玩犬に関しては、
個人で飼っている犬に関しては、淘汰をするまでもない。
家族同様に24時間面倒が見れる環境であるので、きちっとした治療も十分可能です。
問題点としては費用がかかる事、
常にこの病気というものを意識しながら一緒に暮らさなければならいという事。
それから定期的な抗体検査が必要になります。

治療方法:
県の感染症委員の先生お奨めの方法があります。
※現在ニニ家でも行っている方法です。これに関して詳しくは、後日新たに記事にします。
説明会に参加された方には後日詳細をPDFで送って頂きました。


<ブルセラ菌の特徴>
ブルセラ症が怖いところは免疫システムの盲点を突くという事です。
動物は体の中に免疫系があり、悪い菌がきたら白血球が食べるとか、
リンパ球が抗体を作ってやっつけるといった防御システムがあります。
マクロファージという細胞があり、マクロファージは免疫の一番大事な細胞です。
菌を食べて消化して、菌の情報をリンパ球や他の細胞に、「これ悪いものですよ」と情報を伝えると、
抗体を作ったり、リンパ球のから、「マクロファージもっと頑張って!もっと食べろ!」などと刺激を受けて、
「よ~し食べるぞ!」ということでやっつける。
こうやって体の中で防御するための非常に重要な役目を負った細胞です。
ところがですね、ブルセラはマクロファージの中に捕らえられても、
消化されないで、中で増殖してしまうんです。
抗生物質を飲んだり注射したりしても、抗生物質は血液中までは入るけど、
細胞の中に隠れているものに関しては届かないのです。
菌が細胞の中に入ってるために抗生物質は効かない、
菌が血液中にいないから抗体も出来ない、
もう大丈夫です綺麗になりましたよって言っても暫らくしたらまた出てきたという事が起こりうる、
非常に難しい菌です。

菌もずっと隠れているわけにもいかないようで、時々は外に出るわけですから、
そのタイミングを見計らい治療をしてやる。
それをやっていくうちに潜んでいた菌を全部やっつけられ、
完全に体内から正常化清浄化される事を期待して治療をする。

ブルセラ以外にマクロファージの中で生き続ける菌は、
結核菌、サルモネラ菌、レジオネラ菌などがある。




<質問コーナー>
※参加者から質問を募り、先生に回答して頂きました。


Q.不妊手術・去勢手術してある犬は感染しないか?
A.残念ながらそうとは言えません。
 ブルセラ菌の感染部位として一番有力な場所ではあるが、
 潜伏期間を過ぎて、最初にはリンパ節とか脾臓とか特定の部位にも感染が起こる。
 交配以外の要因、例えば尿からでも感染自体は成り立つであろう。



Q.交配を考えているが、検査をしたほうがいいのか、検査のタイミングは?
A.交配前に血液検査をしたほうが良い。
 出来れば相手の方も同時に検査を受けられて、両方とも抗体が陰性であればまず大丈夫。
  ただ潜伏期間という問題がありますから、
 その検査の時点からさかのぼって、何週間の分については未知数。
 もしその期間に他の子と交配などしていれば、
 さらにその子も潜伏期間という可能性もあるので100%ではない。
 無事に産まれた場合には、その時点で大丈夫とみても間違ってないと思う。
 流産した場合は、流産した胎児で検査をします。



Q.ドッグランとかで感染する可能性は?
A.菌は乾燥したところで紫外線にあたっていると12時間で死滅しますといわれています。
 他の病気と比べてみた場合には、
 それだけの時間紫外線にあたれば大丈夫なんだと捕らえれば、大丈夫なんだなと思っています。
 ドッグランに行く子達というのは、飼い主の方が常に健康チェックを自分なりにしていると思うので、
 ドッグランに病気を持ち込むって事を防げるのではと思っています。
 よほどペロペロ舐めるとうつるかもしれないけども、その危険性をかなり減らす事が出来ると思う。



Q.マーキングの臭いを嗅ぐだけでも感染するのか?
A.排菌された尿を舐めれば、やはり感染する機会は高く、
 オス犬のブルセラの場合は、
 メス犬の10倍の菌量を尿中に排出するので非常に危ない事だと思います。
 ※嗅ぐ事ではなく、舐めた場合のみの回答でした。
   個人的な意見では嗅いだだけでは感染はないと思っています。



Q.抗体検査や検査機関は?
A.抗体検査の種類:
 凝集法、CF法(蛍光抗体法)、人間の場合には遺伝子解析PCR法もある。
 ※CF法に関してですが、これは先生の言い間違いだと思います。
   調べると蛍光抗体法はFAIF法といいます。
   現在モノリスで行っているのは、IFA法です。これは間接蛍光抗体法の事です。

 動物の場合で大まかに言うと、凝集法が2種類、FA法が1種類ある。

 凝集反応:
 平板凝集反応と試験管凝集。

 平板凝集反応では菌の1部を硝子板の上で血清と混ぜて凝集するかを見ます。
 希釈した血清を混ぜて、何倍まで凝集するから、結果何倍凝集だから、
 陽性、擬陽性、陰性だと判断する。
 それを1歩進めた方法が試験管凝集です。上記の事を試験管の中で行います。
 硝子板よりも感度が高い。
 更に感度が高いのは蛍光抗体法である

 ※凝集法は検査結果で、陽性、擬陽性、陰性に対して、
 蛍光抗体法は、陽性、陰性のみです。

 擬陽性というのは、陽性の弱いものなのか、
 あるいは陰性なんだけど、非特異的な反応で出るのかという事で悩み、
 家畜保険衛生所に勤務されていた方で獣医師会事務局をなさっている方に、
 以前牛でブルセラが出た時にどうしたのかという話を伺ったところ、
 まずは平板凝集反応をやって陽性・あるいは擬陽性がだった場合、
 試験管凝集をやってそれでもまだ出たものは蛍光抗体法で調べるという方法をしていた。
 だったら最初から蛍光抗体法で一足飛びでやってしまおうという事で、
 浦安の先生方と歩調を合わせ、
 白黒がハッキリする検査にしましょうという流れにしました。



Q.菌血症とは?
A.細菌が体の中にいて、全身の血液の中で菌が盛んに活動している状態。
 菌血症になれば細胞(マクロファージ)の外に菌がいるので、
 血液を調べれば抗体価はあがっている。
 細胞(マクロファージ)の中に取り込まれて、血液を流れている状態は菌血症とは言わない。



Q.陽性犬と一緒に暮らす場合どうすればよいか?
A.定期的に投薬を、あるいは注射をして、そして定期的に抗体検査をします。
 まず2種類の作用基準の違う抗生物質を組み合わせて治療をします。

 早めの時期、潜伏期間、マクロファージに入るまでに集中してやっつられれば、
 かなり菌数を減らせられるという治療方針です。
 だから病気かなと思ったら直ぐに治療したらいいです。

 治療は6週間の抗生物質の投薬です。
 治療開始6週間後に、1回目の抗体検査をします。
 その結果陰性だったら、1~2ヶ月後に再度抗体検査をします。
 更に陰性だったら、次は3ヵ月後、その次は半年後に抗体検査をし、
 それ以降は半年毎に定期的な抗体検査をします。

 結果陽性と出たらとすると、
 マクロファージの中に潜んでいた菌が、また血液中に出てきて、
 それを免疫システムが感知し抗体を作るのです。
 つまり抗体価が上がっているとすれば、病気が活発化したんだと見るんです。
 そうなったら治療を再開します。



Q.血液検査の数値は?
A.肝臓内にもしブルセラがいて肝障害を起こせば数値は上がるかもしれませんけども、
 一般論では普通の血液検査上の数値は何も変わらないと思います。



Q.菌に触れたら感染してしまう?抗体価はあがるの?
A.感染するにはある程度以上の菌がないと感染しない。
 マクロファージが出てくるまでの段階でやっつけられてしまうと思うので発症しない。
 その細菌が何個まで良くてとか具体的なことは分からないけど、
 相対的にブルセラの菌量が少なければそこまでは行かない。
 つまりそこまで行かないということは、抗体価も上がらない。



Q.一生排菌し続けるの?
A.治療しない場合で言えば、5年後に排菌したという報告もありますから、
 おそらく排菌をしたりしなかったり繰り返していると思います。
 治療後であっても、再び菌が体内で増えたとすれば、抗体価も上がり、排菌もあると思うので、
 それを考えたうえ、定期的な抗体検査で早めに発見する事が出来ると思います。



No.260 2008/12/15(Mon) 01:11    お病気 | comment :2

[ この記事へのコメント ]
Tsuge[URL]
仔細なレポートありがとうございます。
お父さんがこんなに努力しているのだから、
それが実って、陰転しているといいですね。

遅ればせながら、ウチも今日結果が出まして、
幸いにも陰性でした。
ドクターが電話で急ぎ知らせてくれただけなので、
まだ正確な抗体値とかはわかりません。
引き続き、油断せず、
しかし心配し過ぎず、暮らして行けたらと思っています。
No.821 2008/12/16(Tue) 17:06[edit]



TAkabON[URL]
>Tsugeさん
 おお!
 陰性とのこと、良かったですね。
 本当良かったですね~~!!
 うちは来週ついに治療後の1回目の検査です。
 今からドキドキしています。
 陰転してくれてるといいんですが。


No.822 2008/12/17(Wed) 22:21[edit]



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